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Little Bravery Э  5.3

5.3


「あのお、新太さんウチの結界に触れたりしました?来客避けの魔法かけててたのに」
 うろたえた様子のアルヴェールが食ってかかってきたから、何言ってんだずっと一緒にいたじゃないと答えたら、そういえばそうですねと間の抜けた反応。
 最初に飛ばされてきたときに一瞬見えていた、広大で青々とした周辺の森林らしき景色からして、人なんか寄り付かないだろうに、さらに人除けまでしているなんて。
「よっぽど人嫌いなんだ、アルヴェールって」
 呆れた新太がそう言うと、なぜか傷ついたような顔をされてしまって、ばつが悪くなってしまった。
『おーい、返事無いなら勝手に入るからねー外見廃墟ってことになってるからそのつもりで入るので不法侵入ではないですよ、何せ廃墟ですからね遺跡じゃないよ廃墟だよ』
 どうやらライの目には、この建物が新太とは違うものに見えているようだった。
「あのさ、来客避けって何なの」
「え?えーと……建物が廃屋に見える幻視魔法、近寄ると黒板をツメで擦ったときの音が大音響で鳴る音地雷、高確率で犬のうんち踏むトラップ、空からタライとか黒板消しとかが降ってくるワナ、あと何だっけ、えーーーっとアレだ、廊下歩いてると突然窓の外からゾン」
「あーあーうんうんありがとう十分わかりましたありがとうございます」
 これ以上聞いていると日が暮れそうだ。慌てて新太は制止した。
 とりあえず殺意が無いだけでも良しとする。
 と、そんなことを聞いている裏で、ドスッバキッボカッと派手に音が流れ流れてきて、それはもうてんやわんやなのだろうと顔を強張らせる新太の背後に、ヌッと現れた人影と、大きな威圧感。
 威圧感のわりには影は小柄でその正体がライだというのはすぐにわかった。
「申し訳ありませんウチの子がこちらにお世話になっていると聞いてお迎えとお礼に伺いましたァ」
 ライの口調は気楽そのものだが、明らかに雰囲気がトゲトゲしくて、聞いているだけで心がヒリヒリしてくるのを新太は感じる。怒ってる。
 振り返ってみるとまさしく、頭に粉をかぶって、服がずぶ濡れで、頬に落書きされ、ズボンが脱げパンツ一丁で、髪の毛がアフロになって、たんこぶが二つ、それでも犬のそれだけは避けたらしいライが、不動明王かなまはげかと見間違えんばかりの恐ろしい顔をしてそこに立っていた。
「新太君」
「はっはい何でございましょう」
「あの緑の髪の君と同じ顔した子がいないので」
 えっと思って周りを見ると、確かにもうアルヴェールの姿は無く、書斎に立ち読みに来た新太一人、とも言える様子になっていた。
「代わりに新太を犯すことにした」
「らめぇ~」

 アルヴェール・ディオンという名前を話してみたら、ライは何かしらの心当たりがあったらしく、あーあの家の、と大きく頷いてみせて仕方なしといったふうに軽いため息をついた。
「英雄の子って言われててねえ、父親の話されると露骨に嫌がるっていう噂は聞いたことがある」
「えーいいじゃないすっごいレア感あるのに」
「そりゃお前あれだよいろいろあるんだよ、見知らぬ親戚とか聞いたことのない兄弟とか出てきたりその気も無いのに親と同じ道歩くのを期待されたり」
「あー、よくある設定だ、サラブレッドとか七光りとかいうの」
「だろ~」
「わかったわかった、確かに気の毒だ」
 確かに、彼の振る舞いには、何かしらに絶望している節はあった。
 が、だからと言って人を異世界に呼び込んで良い理由にはならない。
 他人事なら同情でもしていたかもしれないと思って、新太はなんだか腹がたってきた。
「なんかイラつくからライを犯すことにした」
「えっ溜まってんのか?別においらは構わんぞ、対話の扉と股はいつでもフルオープンだ」
「……自分で言っててモラル欠けてると思ったことない?」
「そこらへんの観念に厳しい人間もいるみたいだけどなー、おいらそういうのでストレス溜めて仕事に支障をきたしたくない派だな、結構意見あるみたいだね、その問題」
 そのライの反応が不思議だったので訊いてみると、何やら「そういう方面」にはだいぶ大らかというか、解放的というか、そういう話のようだった。

 アルヴェールがいつの間にかいなくなったおかげで、晴れて拉致から解放された新太ではあったが、たくさんの謎と、いくつかの不安は残った。
 あまり深く考えるといろんな意味で壁に突き当たりそうだったので、取り急ぎファンタジー世界に迷い込んだ主人公という役割に全力で向き合っていくべきである、そう頭の中で決意を固めるのであった。
 ライ曰く、拉致現場から、新太が元いたグラベルの街までは片道数日の距離。
 連れてこられたときのように飛んで帰れるのか問うと、おいらそんなに魔力も腕力もねーなーと言われた。そのわりには拉致後からの彼の到着がやたら早いんじゃねと思ったが、そういうのにも才能や技術力の優劣はあるということで、新太はライに無理矢理説き伏せられた。
 となると移動手段は徒歩しか無いから、必然的にグラベルへ戻るのではなく、別の経路を探るしかなくなる。
 神父とシロにはライが伝言を残したらしくその点では安心だが、久々の二人旅はなんだか少し寂しい。口に出すとまたセクハラに発展しそうなので、新太はボヤくのをこらえて、話を変えることにする。
「ところで、英雄って何者?やっぱこう、世界制服とか世界の終わりとかそういうのを企んじゃったりする大魔王を勇者にしか扱えない伝説の武器でズバーン、っていう」
「それこないだも聞いたけど伝説の武器とか……漫画の読みすぎじゃね?」
「この世界はまだ僕にとっては漫画やアニメの世界観に囚われてるよ」
「あっ、そう……まぁ別にいいけどさ」
「魔物の存在については前聞いたことあるけどね、魔力の残滓、生活廃棄物産業廃棄物の類でどうのこうの」
「魔王ってのはストレートに言えばそれの凄い版で、場合によっちゃ人語理解して意識知識持ってる厄介なのね。ほんでまぁ、英雄ってのはその魔王を頑張って処理したエキスパートで。おいらたちも魔物駆除して日銭稼いでるでしょ、アレの凄い版。伝説の武器なんか無いし、あったところで生まれるごとにその出生や構成要素や環境が違ってくるその魔王に効くかもわからんし」
 何やら身も蓋もない、夢も希望もない言葉がライの口からぽんぽん飛び出してくる。
 とりあえず何かしらの凄い版なんだと、把握する。凄い凄い。
「その凄い版の人が、英雄という……なんと言うか、マスコットとか看板みたいなもんだァな。名前は確か……グラン・ディオンだったかな、すげー魔力持ってて極大魔法使いまくりでなんかもうテメェで魔王生み出しちゃった説まで出るくらいで。大賢者なんていう別名もあって」
「ディオン?」
 思わず新太は聞き返す。
 聞き覚えのある苗字だった。
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