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Little Bravery Э  1.3

1.3

 のわああぁぁああぁああ!?と盛大な叫び声をあげて、新太は飛び起きた。
 少し離れた場所で休んでいた尖り耳の少年が驚いて肩を縮めたのは目に入らない。
 夢を見ていた。
 電車に乗っていて、その電車が大きく揺れたかと思ったら、場面が変わって。
 果てしなく続く暗黒の中を、ただただ落ちていく。
 「落ちる夢」というのは誰だって一度は見るものだが、今回見たものは格別に恐ろしかった。何も見えず、何も聞こえない、闇という単語以外に形容のしようがない空間で、いつかは到達するはずの地面に身体を打ちつけ、風船が破裂するように壊れてしまうであろう自分の姿を予感していた。でも、夢だった。
 胸に手をあててみると、じっとりとした感触があった。手のひらだけではなく全身から汗が噴き出していたのだ。シャツがべたついて気持ちが悪い。
 良かった。死んでない。
 胸をなで下ろし、改めて周囲を見回した。
 ……森だった。
 なで下ろした胸の鼓動がまた、若干早くなる。
 死んではいない。死んではいないが、今の自分を取り巻く環境が正常ではないこともまた、確かなようだった。悪夢から目が醒めて、また別の悪夢に迷い込んだ。
 背中が固さに痛む。岩か何かの上に寝かされていたようだ。
 身体を起こすと、胸にかけられていたらしいタオルがはらりと落ちた。
 なんだか腰から下がスースーすると思ったら、穿いていたはずのスボンがなくなっていて、自分でも貧弱だなあと思う細い足が剥き出しになっていた。
 若干早くなった鼓動がさらに早くなる。頬が火照る。これって痴漢?気絶中に?
 タオルをめくってみると、下着はなくなっていない。やや安心する。
 と、離れた場所から突然声が聞こえてきて、思わず新太は肩をびくつかせた。
「あー!やっと目ェ覚ましたか。っつーかあんなんで気絶ってなんだよみっともねぇなァ。チキュージン?ニホンジン?ってのはそういう生き物なん?」
 言いながらズカズカと近寄ってくるのは、尖り耳の少年。確かライという名前だった。見た目どおり変声期前なのか、子供のような甲高い声。
「へっへへへへ変態ッ?!」
 尖り耳がどうだのここはどこだのあの化け物は何だの口にしたいことは山ほどあったが、出てくる言葉は差し迫った危機への反射。
 しかしながらそんな新太の様子にライは動じることもなく、首をくいっと後ろに向けて、視線を促した。
 その先には、森の中にわずかに入り込む日に照らされ、風にたなびく自分のズボン。
 そういえば、さっき気絶する前自分のズボン濡れてたっけと思って、それでもやっぱり恥ずかしい。
 何と答えればいいのか悩んでいたら、先にライのほうが問いかけてきた。
「異世界、っていうんだろ、ここのこと」
「なあなあ、セカイをジャンプするのってどんな気分?」
「チキューってどこにあるんだ?」
「彼女とかいんの?オマエ男だろ?」
「オマエ弱そうだよな、チキュージンってみんなそうなのか?」
「……人の話、聞いてる?」
 こんなにいっぺんに問われてしまっては、答えるに答えられない。
 返答につまっていると、やがてライは観念したように肩をすくめ、頭をかいた。悪いかな、と新太は少し思ったが、心境的にどうこうできるものでもなかった。
 ライは再び新太に向けて、手を差し伸べ笑顔を浮かべる。気絶する前と同じ。違ったのは、さっきのは手を引こうとしていたのに対し、今回は握手を求めているように見えた、ということだった。
「まぁなんだ、オイラは悪いヤツじゃない、ってことだけは認識してもらえると……有り難い、かな。改めて自己紹介だ。オレはライ。ライ・リオルフ。見てのとおりエルフ族のナイスガイ。よろしくな」
「ナ、イス……ガイ?」
 ちょっと引いた。
 経緯からして、ライを信じても良い要素は何一つ無い。
 愛くるしい、悪く言えば嘘くさい笑顔がひっかかるが、さきほどの無邪気ともとれる質問責めからして、興味本位で自分に接してきているだけかもしれない。
 それならば、少しくらいなら信じてみても良いのかも。迷う。が、迷っている余裕など、今の新太には無かった。
 次のライの一言は、新太にとっては死刑宣告のようなものだったから。
「……さっきの魔物ってよ、マンイーターっていうんだ~。ここらへんに、群生、してる食人植物タイプの」
 新太はひきつった笑みを浮かべて、心のなかで一人ごちる。
 群生、のとこ強調して言ったぞこいつ。多分ワルだ。うそつきめ。




(すみません今回は見てのとおり難産だったので絵無し、です)
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