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Little Bravery Э  4.2

4.2


 予定がずれてどうにもなくなった時間をお金稼ぎに充てるのは旅人としてはさほど珍しいことではなく、街周辺の魔物狩りに出ようとしたライを新太はちょっとだけ迷った末に追いかけることにした。
 街から徒歩で一時間ほど離れた場所に洞窟があって、そこが廃魔力の滞留地帯=魔物の発生地帯になっている。
 どうしてこんなところに滞留地帯がだとか、なんでそんな場所の近くに街がだとか、ここで狩りまくってれば大金持ちになれるのかしらん、などなど新太の中で疑問がわいてくる。訊けばわかるかもしれないが、そんなに何でもかんでも訊きまくるというのも少し情けない気がしたので、訊かない。
 一人で良いのにと気乗りしない顔で言うライに無理矢理ついていって何をするかというと、結局はスーパーマンみたいに飛んで跳ねて狩りまくる彼の様子を物陰から見ているだけだ。
 よくよく見ると魔物の動きは鈍重でもっさりしていて、新太ですら楽に避けられそうな攻撃をしているのに、ライはというと無駄に飛び跳ねては頭上から攻撃したりしている。
 飛び散る汗が、朝に見た神父の肥満防止運動の様子とかぶって、新太はなんだか切なくなった。
 ようは暇なのだ。
 経験値稼ぎにもならないんだろうな、と新太は思う。よくて現状維持。
 試しに小石を拾って魔物にぶつけてみたら、魔物はピギャアと甲高い悲鳴をあげて気絶した。苦笑い。

 太陽が沈んだ頃になって収穫をお店で換金してみれば、案の定雀の涙ほどの金額にしかならず、時間を費やしたわりには徒労のほうが大きかった。
 あーだりーやってらんねーなどと言いながらベッドに飛び込んだライが、五分も経たないうちに寝息をたてる。ふてくされている。
「おンやァ、その様子はアレか、ハズレかね」
 神父が何の意味でそう言っているかはわからないが、どんな意味でもおおむね間違いではない雰囲気だ。新太は神父に問う。
「昨日からライの様子おかしくないです?何かこう、避けてるっていうか」
「うーンむ、新太もそう見えるか?」
「ええ」
「ありゃ春探しに行って失敗したような様子じゃねェやな。何かこう……悪いモンでも見たような。まさか悪魔じゃなかろうな。私祓うの苦手なんだけンども」
 神父が神父らしからぬ神父みたいなことを言う。
 悪魔だなんてベタでナンセンスなものも、この世界ならば実存するのだろうと新太は思う。それをお祓いするのも、神父の仕事。
 この世界にやってきて数週間、やっと新太も状況が飲み込めるようになってきた。
 余裕が出てきて、かわりに気になることは、誰彼のあれこれ。


 翌朝、朝のニワトリが鳴く時間よりも早く、一同は街を出た。
 荷物は小さくすれば持ち運べるけれど、人間となればそうはいかない。それ自体は不可能じゃなくって、消費魔力や労力、その他リスクの方が大きいのとシロが言った。
 神父の顔みたいに吊り目で小さな体躯の馬を散々値切ってレンタルして、神父が乗った。
 シロは魔法力に長けているので、そこらへんで拾った薄く長い板に何か仕掛けをしたらしく、地面から少しだけ浮き上がったそれに足を乗せてスケボーの要領で乗りこなしている。昔テレビで観た洋画のようだ。運動能力については多分自分の常識は通用しないのだろうと確信したので、新太は考えないことにする。
 新太とライは徒歩だから、ペースは遅い。
「あのさ、ライ」
「うん?何だもう腹減ったか」
「悪いね、足遅くって」
「そうか?コッチ来てすぐの時よりゃだいぶ早くなってるだろ。大したもんさ」
「そうかな」
「そうさ」
 なんでこんな優しくしてくれるんだろう。ちょっと前まで存在すら知らない、他人ですらない存在だったのに。普段なら何も感じないのに、今日はふつふつと疑念がわき起こってくる。そんな自分がちょっとだけ嫌いになる。
 新太は、彼に出会ってすぐの昔―――といってもまだ一ヶ月も経っていないが―――を思いうかべた。
 ダイモン・アラタっていうのかな。
 チキューってとこから来たんだろ。
 チキュージンでニホンジン。でぃーぶいだね。
 日本語が変に通じてしまったりするのは原理などを考えても答えなんか出るはずがないから放っておくにしたって、造語の類まで地球とクラ・リオで一致するのは「たまたま」と考えるには不自然すぎる。
「ライって昔、地球人の日本人と会ったこと、あんの?」
「何だよ……やぶからぼうに」
 ひどく面倒くさそうにライが反応した。
「いやほらだって、なんかすごく知ってそうだし」
「何を」
「なんか、いろいろ」
「いやだから何をいろいろ」
 もどかしい。
 そんな二人の間に、スケボーのシロがヌッと飛び出してきて、ぼそりと言った。
「……汝、隣人を愛せよ……とかなんとか……アレキサンダーさんが言ってた……ような……」
「アレキサンダー?」
 問いかける新太。
 シロは振り向いて、ロバに視線を向けた。
 ロバの上では神父が、それはもうダラけきった顔で鼻提灯をふかしている。
「……アレキサンダー?」


(のんびりとやっていきます)
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